Oct 22, 2016

残欠二つ

月末に控えた出張ブロカント「アチコチズストア」の準備に追われる毎日。
準備と言いつつ改めて手に取ったりしているうちに時間が過ぎてしまうので、これがなかなか進まない。
というわけで、手が止まったついでにここでご紹介。

木彫の装飾残欠二つ


栃木のどこぞの社寺を飾っていたものだそうで、浪のようにも雲のようにも見えるその意匠はこうやって改めて見ると今にも動き出しそうな迫力がある。長い年月を経て浮き上がった木の層や木目が更なる躍動感を与えていて、細部を見れば見るほどその繊細さと大胆さが入り混じった彫りの跡に思わず見入ってしまう。



どちらも裏側には溝があり「右」と墨で書かれていたりして、それぞれにどんな様子で組まれていたのかと想像するだけでも面白い。結局の所、撮影しながらもしげしげと眺めてしまって作業は捗っていないのですが、実物を見てもらえたらきっとこの気持ちを分かってもらえるはず。
皆様のお越しをお待ちしております。

Oct 7, 2016

Dear Mr. Peanut

その人はいつもピカピカのトップハットを被っている。
片眼鏡をかけ、白手袋をした手にはステッキ、黒靴に白のシューズスパッツの組み合わせを愛用している。

その人の名前は Mr. Peanut 、常に微笑みを忘れない紳士である。


ピーナッツ氏はアメリカにあるプランターズ社のブランドアイコンとして1916年に誕生し、めでたくも今年で100歳になられた企業マスコットキャラクターの先駆けである。
一般公募で選ばれたアントニオ少年のデザイン(ピーナッツに手と足が生えたシンプルなもの)に広告デザイナーがトップハットと片眼鏡、ステッキを追加したものが原型なのだそうだ。
その後の長い歴史の中でピーナッツ氏は度重なるマイナーチェンジを繰り返し、メリエスの月世界旅行に出てきそうな風貌から始まり、上記画像のようなお馴染みのデザインを経て現在ではスタンリー・ザ・マスクのような3Dアニメ風となって日々広報活動に勤しんでおられる様子、まだまだ現役です。(100年間におけるピーナッツ氏の華麗なる変身はこちら。)


今回そんなピーナッツ氏が登場するグラスが良い状態で見つかったので、10月末に神戸で開催する出張ブロカント『アチコチズストア』にて販売する予定。パキッと清々しい青と黄はプランターズ社のシンボルカラーであり、この意匠はそもそもブリキ缶のパッケージに使用されていて同社では長い間定番商品だったもの。それをそのままグラスにしたこちらはピーナッツ氏も一番馴染みのある頃の姿をしているので(1980年代前半のものと思われます)、是非とも手にとって直接ご対面いただければと思います。

個人的にMr.Peanut愛好者として忘れてはいけないのがイラストレーターの安西水丸さん。
作品やアトリエ風景の中にピーナッツ氏の姿を確認して以来、勝手に親近感を覚え、ますますファンになったものだ。安西さんの緩やかな線で描かれるピーナッツ氏を眺めると、つくづく絵になる紳士だと思うのです。

『ニュースと時報』1986年