Dec 27, 2016

New Items

オニオングラタンスープ用のボウル
Mr. Peanut氏が登場するタンブラー
ベークライト製のダイス

3点をachikochiz shopにアップしました。
詳細はこちらからどうぞ。





Dec 12, 2016

CARTE POSTALE 2

アチコチズストアの開催からすっかり時が過ぎてしまい気がつけば師走。楽しかった思い出を噛みしめつつ、イベント時に購入したものをいくつか紹介したい。

主催者でありながら"A"がフランスから持ち帰ってくる品々はお客様同様に楽しみにしており、中でも@calotype_fr氏(アカウント名変更したそうです)のコレクションをまとめて見るにはフランスまで飛び立つ以外にはこの機会しかないので、昨年に引き続き今回も会期中こっそり眺めては熟考するを繰り返して最終的に2枚に絞り込む。

その1枚目がこちら。

5人の男女が野外で踊っているもので、そのシチュエーションはインパクト大。
以下"A"による解説
『これはフランスの中央山岳部オーヴェルニュ地方の伝統的な踊りの絵葉書。
https://www.youtube.com/watch?v=a0j9dTBJWWE
Wikipediaによると16世紀にヴァロワ家のマルゴがオーヴェルニュ地方を訪れた時に興味を持ってパリにもたらし、宮廷ダンスの原型となった。宮廷での舞踏会に始まり、舞台演劇、オペラ、クラシックバレエへと発展していく。宮廷の社交ダンスの原点。1913年の消印があるが撮影はもっと前のはずなので、1900年から1910年あたりの光景と思われる。
なんという衝撃の事実!映画「王妃マルゴ」の世界観とこの牧歌的な踊りを脳内で結びつけるのは至難の技だが、そもそも音楽に合わせて皆が一斉に踊るという経験が無かったならば、これはとても魅力的だったはず、まさにマルゴの知られざる偉業である。
他、シチュエーション以外にも着目したいのがそれぞれの服装。
まるで映画の1シーンのように十字架のオブジェ("A"曰くお墓ではなく村の道標のはず、との事)にもたれてバイオリンを弾いている男性と手前の男性が着ているスモック型の衣類はBiaude(ビオード)と呼ばれるもので、麻のインディゴ染めのものを野良着の上からかぶって祭りや教会の礼拝に行ったお出かけ着なのだそう。そういえば"A"のブログで紹介されていた素敵なBiaudeを唇を噛みつつ読んだ記憶が…。(前述した@calotype_fr氏のinstagramにもBiaudeのディテールが良く分かる画像あり。)男性の着るスモック型の民族衣装と言えばロシアのルバシカを始めいくつか思い浮かぶが、よくよく考えると貫頭衣に始まりトゥニカやブリオー等、男性の服飾史はスモック(チュニック)とは長い付き合いなのだと改めて思うちなみに女性陣はヨーロッパ諸国の伝統衣装で多く見られる帽子と前掛け、たっぷりギャザーをとったスカートという装い。足元は全員が木靴、フランスなのでSabot(サボ)ということになりますね。

2枚めはこちら。

VETEMENTS de TRAVAIL(作業服)と書かれた商店の看板の下で男性がポーズをとっているもの。
"A"の解説によるとパリか地方かの特定は出来ないが、撮影されたのは1905年から1913年頃のものらしい。細部を見てみると店主であろう男性が着用してしているシャツもディスプレイされているシャツもいずれも立ち襟というのがとても興味深い。と言うのも19世紀後半から襟型は立ち襟からウイングカラーに近い一部折り襟スタイルを経て、20世紀に入ると現代の襟型の原型となる折り襟が主流になる。その流れが地方や労働者階級に広がるまで少し時間がかかったのだとしても当時が立ち襟時代の末期であったのは確かなので、それを思うとなんだか感慨深い。また陳列されている他の商品にベレーやボーダーシャツが見られるのもいかにもフランスらしいところ。
この絵葉書は@calotype_fr氏が自身のコレクションをスキャンしフォトショップで傷んだ部分を半月ほどかけて全て修正したもので、限定100部。これのオリジナルは絵葉書ではなくフォトカード(carte photo)と言って、印刷ではなく、絵葉書の裏面がすでに印刷された印画紙に直接現像したものなのだそうだ。いつかオリジナルを見せてもらおうと心に決める。

そして最後にパリの地図。

これは"A"のブログに紹介されているのが元の地図で、それを"A"が紙の傷み具合までスキャンしレンズ歪み等々の修正を加え全く同じサイズで完成させたオリジナルに忠実な複製品、こちらも限定100部。(オリジナルも見せてもらったが、本当に良く出来た複製品で1944年から1947年頃のもの。"A"の仕事の細やかさには毎回感心しきりである。)ブログに書かれているように地図に載っている省庁の存在期間を調べる事でおおよその年代が分かる辺りが地図の楽しい所で、日本の古地図で馴染みの地名や橋の名前を見つけた時の喜びに似ている。更に嬉しいことにこの地図は主要な建物が立体的に描かれている種類のもので、妹尾河童さんの覗いたシリーズのファンとしては特に好きなタイプの地図だ。じっくり地図上を旅した結果、エッフェル塔とシテ島辺りの眺めが一番のお気に入り。



因みに"A"のブログでも記述があるように、この地図に使用されているGill Sansはとても好きな書体のひとつ。こうやって好きなものが自然と集まるのだなと妙に感心したのです。

Nov 6, 2016

「アチコチズストア 2016」終了致しました

神戸 岡本「まめ書房」にて限定開店しておりました出張ブロカント
『アチコトズストア 2016』無事に終了致しました。


お陰様で好天にも恵まれ沢山のお客様にお越しいただきました、
ありがとうございます。

この日の為に集めてきた物たちを実際手に取りながら様々なお話が出来て
achikochiz A , C 共に楽しく貴重な時間を過ごす事ができました。

ご来店いただいた皆様、本当にありがとうございました。
また再びお会いできます事を楽しみにしております。


尚、今回のアチコチズストアで紹介した物に関しては今後ネットショップにアップする予定です。

なにとぞ宜しくお願い致します。



Oct 22, 2016

残欠二つ

月末に控えた出張ブロカント「アチコチズストア」の準備に追われる毎日。
準備と言いつつ改めて手に取ったりしているうちに時間が過ぎてしまうので、これがなかなか進まない。
というわけで、手が止まったついでにここでご紹介。

木彫の装飾残欠二つ


栃木のどこぞの社寺を飾っていたものだそうで、浪のようにも雲のようにも見えるその意匠はこうやって改めて見ると今にも動き出しそうな迫力がある。長い年月を経て浮き上がった木の層や木目が更なる躍動感を与えていて、細部を見れば見るほどその繊細さと大胆さが入り混じった彫りの跡に思わず見入ってしまう。



どちらも裏側には溝があり「右」と墨で書かれていたりして、それぞれにどんな様子で組まれていたのかと想像するだけでも面白い。結局の所、撮影しながらもしげしげと眺めてしまって作業は捗っていないのですが、実物を見てもらえたらきっとこの気持ちを分かってもらえるはず。
皆様のお越しをお待ちしております。

Oct 7, 2016

Dear Mr. Peanut

その人はいつもピカピカのトップハットを被っている。
片眼鏡をかけ、白手袋をした手にはステッキ、黒靴に白のシューズスパッツの組み合わせを愛用している。

その人の名前は Mr. Peanut 、常に微笑みを忘れない紳士である。


ピーナッツ氏はアメリカにあるプランターズ社のブランドアイコンとして1916年に誕生し、めでたくも今年で100歳になられた企業マスコットキャラクターの先駆けである。
一般公募で選ばれたアントニオ少年のデザイン(ピーナッツに手と足が生えたシンプルなもの)に広告デザイナーがトップハットと片眼鏡、ステッキを追加したものが原型なのだそうだ。
その後の長い歴史の中でピーナッツ氏は度重なるマイナーチェンジを繰り返し、メリエスの月世界旅行に出てきそうな風貌から始まり、上記画像のようなお馴染みのデザインを経て現在ではスタンリー・ザ・マスクのような3Dアニメ風となって日々広報活動に勤しんでおられる様子、まだまだ現役です。(100年間におけるピーナッツ氏の華麗なる変身はこちら。)


今回そんなピーナッツ氏が登場するグラスが良い状態で見つかったので、10月末に神戸で開催する出張ブロカント『アチコチズストア』にて販売する予定。パキッと清々しい青と黄はプランターズ社のシンボルカラーであり、この意匠はそもそもブリキ缶のパッケージに使用されていて同社では長い間定番商品だったもの。それをそのままグラスにしたこちらはピーナッツ氏も一番馴染みのある頃の姿をしているので(1980年代前半のものと思われます)、是非とも手にとって直接ご対面いただければと思います。

個人的にMr.Peanut愛好者として忘れてはいけないのがイラストレーターの安西水丸さん。
作品やアトリエ風景の中にピーナッツ氏の姿を確認して以来、勝手に親近感を覚え、ますますファンになったものだ。安西さんの緩やかな線で描かれるピーナッツ氏を眺めると、つくづく絵になる紳士だと思うのです。

『ニュースと時報』1986年

Sep 25, 2016

出張ブロカント「アチコチズストア」2016

昨年に引き続き今年もachikochizの出張ブロカント「アチコチズストア」を神戸・岡本の「まめ書房」内eggギャラリーコーナーにて2日間限定開催します。
開店日は 2016年10月29日(土)& 30日(日)の11:00〜19:00です。


わたくしバイヤー"C"からは、ドイツのガラスやプレート、デットストックのエアラインラゲッジレーベル、ミニチュアフィギュアやベークライトのサイコロ、日本からは残欠や古い置物などなど。また韓国で見つけてきた珍しい木偶なども店出しする予定です。(今後このブログでも少しずつ紹介します)
またバイヤー"A"ことパリ彩々。からは、ヨーロッパのミリタリーを中心とした稀少なヴィンテージ衣料やバスク模様のうつわや古い食器類、カトラリー等をパリから持って来る予定です。

上記以外にも古今東西の選りすぐりの品々を用意しております。実際に手に取って直接お話ができる2日間、今年も皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。


*今回のイベントでのお支払いは現金のみとさせていただきます、ご注意ください。



Sep 19, 2016

New Items

アールデコの意匠が美しいDigoin Sarreguemines窯製の

デザート皿とディナー皿をachikochiz shopにアップしました。

詳細はこちらからどうぞ。




Aug 30, 2016

Good and Bat

バットマンが何故バット(蝙蝠)なのかについては、たしか主人公が悪人に恐れを抱かせる象徴が必要だと思った時に自らのトラウマであり最も恐れている蝙蝠をそれに選んだ、といったような内容だったと記憶している。蝙蝠は恐怖や不吉なものの象徴という扱いだ。

しかし今回出会った蝙蝠は恐怖の象徴とは真逆の福をもたらす蝙蝠、しかも印籠という珍しいもの。所変われば品も変わるように、蝙蝠は中国では「蝠」と「福」が同音であることから代表的な吉祥文様として好まれ、蝙蝠文として陶磁器や調度品に使用されている。カステラの福砂屋の商標も吉祥を意味する蝙蝠文様で、両翼を広げた黒いあのマークと言えばイメージし易いかもしれない。


この木製の印籠に登場する蝙蝠は文様ではなく、蓋部分に鎮座する格好で彫られている。本体である下部分の内側は容器の役割を果たすように小さくくり抜かれ、蓋と本体の接合部分は凸凹で密閉できる構造となっている。現代の加工用語でインロー式やインロー構造と呼ばれるのは正にこの印籠の作りが由来だそうです。


続いて本体部分表面を見ると両面に吉祥図案で「寿」の文字が刻まれていることが分かる。この蝙蝠と寿の組み合わせはとてもめでたいものなので好んで使われることも多いらしく、なるほど仲良く並んだ後ろ姿も愛らしい。


それにしても、翼を広げていないからか真正面から見てもイメージする蝙蝠とは少々異なる。売り主のおじさんは顔が蝙蝠で身体は人間と言っていたが、確かに蝙蝠というよりガーゴイルやキメラの怪物を連想させる容姿である。(ちなみにこれを購入したのは韓国で、おじさんも吉祥文様や印籠については詳しくなく魔除けの一種なのでは?という見解だった)

しかし人間の身体というのもいまいち判別できず、印籠である事や寿の吉祥図案との組み合わせを考えると蝙蝠とするのが一番自然なのだが、もしおじさんの言う通り蝙蝠の顔を持つ人間だとすると・・・それこそバットマンということに・・・。

まあそれはそれで悪くないなと思っているのです。

Aug 14, 2016

New Items

フランスからやってきた美しいガラスを2品

眼にも涼しいカラフとミニグラスをachikochiz shopにアップしました。

なにとぞ、なにとぞ。



Aug 2, 2016

Hopper and Keene

古書店を見ると入ってしまう。
これは「パブロフの犬」と同じで、条件反射というか無意識に近い。

先日もたまたま通りかかった古書店にふらふらと入り、Edward Hopper(エドワード・ホッパー)の画集を手にして出てきた。

というのもホッパーの作品を最近手に入れたので、それが掲載されている画集を探しているのだけれど、これがなかなか見つからない。今回手にした画集にも結局お目当の作品は掲載されていなかったが格安だったのでついつい買ってしまった。

探している作品はこちら "Eleven A.M."  



ん?エドワード・ホッパーではないじゃないか!というご指摘の声が聞こえてきそうですが、そうでなのです、正しくは「アメリカのアーティスト Steve Keene(スティーブ・キーン)によるエドワード・ホッパーの"Eleven A.M."」。ちなみに板に描かれています。

ホッパーの作品には窓と人が登場するものがとても多く構図も独特なので、この作品を初めて見た時もどこかホッパーっぽいなと興味を持ったのがきっかけだった。検索したホッパーの作品と比べてみると窓と女性、青い椅子、壁の絵という要素は同じでも、当たり前だが作風も配色もその形(材質も!)も全く異なる。それなのにきちんとホッパーの作品が持つ空気感や喪失感は感じ取ることができるのは流石で、何よりもホッパー云々を抜きにしてもとてもとても魅力的な作品。


せっかく画集を購入したので、ホッパーの作品も。
"Office in a Small City"


これも窓と人が登場するが、現実的には有り得ない程の大きな窓にはガラスが入っておらず、まるで映画のスクリーンのようにも見えてくる。映画監督のアキ・カウリスマキやヴィム・ベンダースがホッパーから影響を受けたというのが分かる気がする1枚。

それにしても今回のように好きなものが思わぬところで繋がるのはとても楽しい偶然。だから今日も古書店を見つけてはふらふらと入って行くのです。


Jul 25, 2016

New Items

ドイツのWMF(ヴェーエムエフ)から2品。

球体が美しいガラスベース、デザインと機能性を併せ持った塩胡椒入れ(マックス&モーリッツ)。
以上2点をachikochiz shopにアップしました。

なにとぞ、なにとぞ。




Jul 6, 2016

Euskal Herriko sukaldaritza tradizionala

achikochizのバイヤー"A"が集めているフランスのバスク模様の古いうつわ。
数年前に"A"宅を訪れた時点でも既になかなかの種類と量でしたが、ブログや本人の話から察するにその後もコレクションは順調に増え続けているようで、日々愛用する様子は"A"のインスタグラムでも公開され、飽きのこない不思議な魅力を確認することができます。
赤と青のラインというシンプルな構成にも関わらずその種類は驚くほど豊富で、"A"が次にどんなものを探し出してくるかも密かな楽しみとなっています。

そんな"A"のコレクションの一部がこの度、誠文堂新光社より発売された
「バスク料理大全 Euskal Herriko sukaldaritza tradizionala」に
コラムと共に掲載されました。


"A"のバスク愛に溢れたマニアックなコラムとコレクションの一部は194-195頁に掲載されています。個人的には楕円と正方形のものが気になる。

またachikochiz.comで取り扱っていた深皿とデザート皿もレシピの頁にてご使用いただいています。

この書籍では「スペイン・バスク」と「フランス・バスク」それぞれの「山バスク」と「海バスク」のレシピが約100点掲載されている上に、バスク地方の風土や食文化にまつわる興味深いコラムも掲載されていて、レシピ本としてだけでは無く読み応えもある一冊にもなっています。おかげでこれまで漠然としていた「バスク」が突如として身近なものになり、いつか行ってみたい場所から必ず行きたい(食べたい)場所になってしまった。

タイトルにあるEuskal Herriko(エウスカル・エリア)はバスク語での「バスク地方」という意味だそうで、独自の言語を持っているのもとても興味深い点です。偶然にも最近読んだ「暗幕のゲルニカ」(原田マハ著・新潮社)にバスク人(ここではスペイン・バスクの人々のこと)に関する会話のシーンがあり、中でも「彼らはスペイン人じゃない。どこまでもバスク人なんだ。」という一文がとても印象的で、こんなに強い言葉で表現されるバスクの土地と人々とは一体どんなだろうと思いを巡らしていたところでした。

我が家でも愛用しているバスク模様のうつわですが、ここ最近は赤・青・白の3色以上に色を持って見えるのはきっと気のせいではないと思います。



Jun 25, 2016

Bakelite

ビリヤード、ダイスゲーム、麻雀。
どれもプレイヤーには向いていないが、その音を聴くのは好きだ。

緑色の羅紗の上でボールやダイス、または牌がたてる音はコロンでもコトンでもなく、ゴロンやドスンという低くて深みのあるもので、もしそれらがベークライト製であるならば尚更である。

ベークライト(フェノール樹脂)は1907年にレオ・ヘンドリック・ベークランド氏が開発した最初の人工的なプラスチック素材で、現在主流となっているプラスチックはベークライトから派生、開発されたものと言える。
今でこそ大部分が新しいプラスチック素材に取って代わられてはいるが、シャネルのバングルに代表されるようにアクセサリーに使用されたり、ボタンやカメラ、黒電話など当時は様々なものがベークライト製であった。(ビリヤードのボールはかつて象牙で作られておりその入手に関する問題で象牙からセルロイド、ベークライトへと変遷し、現在は硬質プラスチック製が主流となっている。)
現在身の回りにあるプラスチック素材を思い浮かべると、ベークライトがいかに画期的な素材であったことがうかがえる。

またベークライトはプラスチックに比べ重いのも特徴の1つである。
アルミ鍋より琺瑯鍋、12.5オンスより14オンス、と重量(厚み)のあるものが好きなので、ここはやはりプラスチックよりもベークライトということになる。

前置きが長くなってしまったが、古いベークライトのダイスをここに。


1番大きい黄色のもので4.5㎤ &150gと程よい重さ。
このひんやりとした手触りと重みがたまらなく、訳もなく手に取ってしまう。
見た通り、目も数字も何も刻まれていないので厳密にはダイス風なのだが、どこをどう探しても持ち主に博才は無さそうなのでこれぐらいが丁度良いのでしょう。


Jun 12, 2016

New Items

フランスのリキュールメーカーRicard

シルエットとロゴのバランスが絶妙な2型のミニグラスを
achikochiz shopにアップしました。

なにとぞ、なにとぞ。




May 22, 2016

Lion and Peony

モノと目が合うのはよくある事だが、睨まれる事はそう滅多にない。

なにやら視線のようなものを感じてそちらに目をやると、まるで赤ザクみたいなシルエットをしたアタマがニカっと爽やかにこちらを睨んでいた。



呼ばれるように近づいてみるとアタマの隣には先端に房のついた細長い布があり、ようやくアタマの正体が獅子頭だと気づく。
鼻は割れて欠損しているし、気をつけないと表面の塗料もぽろぽろと落ちてしまうぐらい年季が入っていて、売主のおじさん曰く江戸後期のものではないかとの事だったが結局どこの地域のものかは分からずじまい。
という事で、その後は持ち帰っての調査となった。

映像や画像以外で見た事がないので、獅子舞と言われてイメージするのは赤くて四角い顔に太い眉、金色の大きな目と口を持ち緑の胴体をした一般的なあれである。
それに比べるとこの獅子頭は目鼻や口の造形は共通しているものの、輪郭も丸くて赤色というより黒色であるし1本角まで生えていてどうも様子が異なる。
更には特徴的な耳も見当たらず、そもそも「獅子」なのか?という疑惑さえ持ち上がるものの眉の外側両端に小さな3つの穴が左右対称に開けらており、おそらく耳は別で付けられていたのだろうということで暫定「獅子」の座を獲得する。


蚊帳(胴体部分の布)に関しても同様に随分褪色し破れや穴もあるが、年月を経ても美しかった当時の様子は容易に想像できる、まさに布のチカラ。
詳しく見てみるとおそらく藍染であるその(麻?)布には幾つかの図柄が描かれており、一般的に描かれる巻毛文様(ドーナツのような丸い模様)は唐獅子の毛を表しているそうで、この文様だけで獅子の体を表現していることになるらしい。(暫定から「獅子」確定へ)
両端に大胆に配された渦毛文様だけでなく巻毛文様と対をなすように牡丹も描かれていて、これらが所謂「唐獅子牡丹」であり、獅子頭が一本角を持っている事からも石川県加賀地方の加賀獅子もしくは北陸のどこかの獅子舞ではないかと推測されるに至った。
(もし詳しい方がいらっしゃれば是非ともご教示願います)

獅子頭には強い霊力があり悪い気を食べてくれるそうで、人の頭をパクパクと噛むような仕草にはこういった理由があり、よって悪魔払いや疫病退治等の縁起物とされている。
更にはこれが加賀獅子の場合、この鋭い眼は「八方睨み」と呼ばれるらしく、それを知った瞬間これからも八方に睨みをきかせて良いものや楽しい事を見つけられますようにと、思わず手を合わせ頭を撫でたのでした。
時々口を開けて悪いものを食べてもらおう。




May 10, 2016

New Items

土人形の俵牛、木製の船、土人形の兵隊

フォトジェニックな3点をachikochiz shopにアップしました。

メイド・イン・ジャポンの軽快さと奥深さをご覧ください。
なにとぞ、なにとぞ。




Apr 18, 2016

1954

1954年が気になる。

というのも、ここ最近気になったものが偶然にも
1954年のものだったから、という単純な理由。

時代はミッドセンチュリーど真ん中、各年それぞれを
クローズアップすれば素晴らしい作品に出会うのは当然、
という事実は今回はそっと横に置かせていただきたい。

その1
SAUL LEITER "Bus, New York 1954"


ソール・ライターは1946年からカラー写真を撮り始めたそうだが
当時はまだモノクロ写真が主流の時代で、カラー写真はあくまでも
記録用という捉えられ方だったらしい。
(カラー写真なんてやめておけと当時の写真家仲間から言われたと
ソール自身も語っている)

ハーパーズ バザー等のファッション誌で活躍しつつも1981年にスタジオを
閉鎖して一線から姿を消したソール・ライター。元々自分の作品を積極的に
発表する事を好まない彼はカラー作品を始め日常的に撮り続けた多くの作品を
あくまでも個人的なものとして世に出さずにいたが、1990年代に入りのちの
ソール・ライター財団ディレクターとなるマーギット・アーブに出会った事で
その膨大なコレクションが発表されることとなる。

初期のカラー作品(1940年代〜1950年代)を集めた写真集"Early Color"が
Steidl社から出版されたのは2006年。出版に尽力されたマーギットさんには
ただただ感謝したい。
それにしてもこの写真集の装丁はデザイン、サイズバランス、質感etc.
全てにおいて完璧で、例えばこの頁のちり(表紙が内側に巻かれている部分)
の赤とバスの車体の赤のなんとも美しいこと・・・。
さすがSteidl社、表紙だけでもずっと眺めていられる。


*ちなみにSaul LeiterとSteidl社については偶然にもそれぞれを扱った
ドキュメンタリー映画が近年製作&公開されている。
『写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと』
『世界一美しい本を作る男 〜シュタイデルとの旅〜』


その2
GIORGIO MORANDI "Still Life 1954"


これまた愛してやまないジョルジョ・モランディの作品。
昨年末から始まった「終わりなき変奏」展を訪れた際(結局3回行ってしまった)
気づいたら何故かこの作品の前でいつも足が固まっていた。

ルイジ・ギッリに代表されるモランディのアトリエ写真を見ていると
そこには繰り返し描かれた静物画のモチーフとなる缶や壜のオブジェが
棚や床に所狭しと置かれている。しかもその中にはモランディ自身によって
色を塗られたり、オブジェ同士を接合して不思議な形にカスタマイズされたもの
もあって大変興味深い。またそれらに積もった埃は払うことを禁じられていた事や
構図の配置を正確に記録する為、無数のマーキングの跡がテーブルや紙の上に書き
残されていたこと等を知れば知るほど、繰り返し描かれた対象物との果てしない
関係性の深さに圧倒される。

余談であるが「静物画」の表記は英語では"Still Life"(動かざる生命)なのに対して
イタリア語では"natura morta"(死せる自然)とまるで違うのが面白い。
実際モランディの作品も画集によってそれぞれ表記は異なっている。
(以下、現代美術用語辞典から引用)
語源的にはゲルマン語系のstilleven(蘭)、stilleben(独)、still life(英)と、
ラテン語系のnatura morta(伊)、nature morte(仏)の2系統がある。
stilleven(直訳すれば「動かざる生命」)は17世紀中頃オランダで現れた表現であり
事物の静止性という側面を取り上げている。それに対しnatura morta(直訳すれば
「死せる自然」)は18世紀イタリアでの造語であり、当時アカデミズムにより
上位のジャンルとされていた歴史画、肖像画がnatura vivente(生きている自然)
と呼ばれていたのに対して、静物画を蔑視的にこう呼んだのである。


その3
木村伊兵衛「パリ 1954-55」


「木村伊兵衛 パリ残像」展で見たこの作品もまたもや1954年。
壁の赤と緑がまず目に飛び込んでくるが、ペンキ塗り職人の作業エプロンの
白色と梯子の存在がとても印象的な作品である。

木村伊兵衛は1954年に富士フィルムから開発されたばかりのカラーフィルムを
託され初めてパリを訪れているが、当時日本から海外へ渡航するのは容易なこと
ではなく、実際「アサヒカメラ」の編集長から「夢物語かも知れないが外国へ
行く気はないか (以下省略)」と話を持ちかけられたという文章を残している。
(『フォトアート』臨時創刊 木村伊兵衛読本 研光社 1956年 8月)
今回展示されていた当時の作品と「撮影日記」に記された言葉からは、初めて触れる
パリの空気感や人々の内面への新鮮な驚きが現れていて、試行錯誤を楽しみながら
撮影していた様子がうかがえた。

前述のソール・ライターと木村伊兵衛、それぞれが1954年にニューヨークとパリで
色を探して撮影していたと思うとそれだけで楽しくなる。もちろんボローニャでは
モランディが相変わらずオブジェと対話していたであろう。

ついでに1954年の日本での出来事も調べてみたところ、1954年2月30日は鬼太郎
(もちろんゲゲゲの鬼太郎)が墓から生まれた年なのだそうだ。

いずれにせよ1954年は特別な年号になりました。

Mar 27, 2016

Newcomer

春は新参者の季節でもある。

この冬の時点で我が家に集まっていた大黒天はこの5名。



集まっては出て行き、またどこかで見つけては集まりを繰り返している。
米俵に乗り手には打ち出の小槌、福袋といったお馴染みのアイテムであるが、
材質も表情もどれも少しずつ異なるところが魅力。
今集まっている中では最前列右のしもぶくれ気味の大黒天が少々ひねくれもので、
足元がおぼつかず少しの振動でも「ごろり」と横たわってしまう。
それは何かの拍子であったり、本人の気まぐれだったりするのだが、周りが
静まった時に限って絶妙のタイミングで「ごろり」と鈍い音が響くのがまた憎い。
おかげで帰宅するといつもその無事を気にしないといけないのだが、本人は少しも
悪びれる様子もなく、踏ん張っている日もあればすっかり横になっている日もある。

と、そこに新参者のえべっさん(恵比寿)が登場。

黒々としていて大きく新参者ながら堂々としており、並べてみると
すでに古参の風格すら感じられる・・・。

 

新参者の登場を彼らが歓迎しているかどうかは全く読み取れませんが、
新加入の日から今日までのところ「ごろり」は見られていないので、
それを歓迎の意と勝手に解釈しています。


後ろ姿の眺めの良さよ。

Mar 6, 2016

Weisbecker & Carpentry Tools

移転した竹中大工道具館にやっと訪問することができた。
展示内容などはここでは割愛するが、
「木の香りの中で、ずらりと並ぶ美しい道具類と大工の技を愛でる」
これに反応した方には是非とも訪問をお勧めしたい。
(見る以外にもボランティアの方による詳しい解説や木工体験、
ライブラリーもあり、行かれる際には長めの時間配分を)

しかも訪問したおまけに、というか個人的にはかなり楽しみにしていた
ものが入館の際に配られる入場券。
フィリップ・ワイズベッカーのデザインの『鉋』。

逆パースと呼ばれる彼のデザインは上から横から斜めからと色々眺めて
視点を探すのが面白い。平面なのに奥行を感じる不思議。


ではその他のワイズベッカーもいくつかご紹介。
(作品集 ACCESSOIRES より)

(作品集 MARC'S CAMERA より)

これはフィリップ・ワイズベッカーがデットストックのノートに
1冊1テーマで描いた50冊以上のドローイングを再現したシリーズ。

「ACCESSOIRES」はワイズベッカーが好きな古いカタログの挿画を
切り抜いて描いたもの。時計や毛糸やベッドなどなど、元のカタログ(右頁)
と見比べるのも楽しい。ちなみにこの挿画を調べてみると電球のカタログと
思われるのだが、このドローイング(参考にした女性の挿画が右頁下にあり)
が何を意味しているかはさっぱり分からない・・・。

「MARC'S CAMERA」はタイトル通りマーク氏(ワイズベッカーの友人)
のカメラコレクションのドローイング。 RICOHを始め数々のカメラが
描かれている(羨ましい)。一見平坦なように見えるのにフィルムの
巻き上げツマミは今にも回せそうで、この不思議な感覚こそが彼の作品の
醍醐味だと思っている。


先の竹中大工道具館では鉋以外にも墨壺や鋸、 曲尺(「さしがね」表記)の作品が
移転オープンの際に描きおろされ、どれもとても魅力的である。
ワイズベッカーを片手に世界の大工道具を見て回る、これを思いついた人とは
仲良くなれそうな気がします。


Feb 28, 2016

New Items


検索結果

Gienのアザミ柄の平皿、Krautheim & Adelbergの角皿、
Hedwig Bollhagenのトレイセット。

個性的な3つの陶器をachikochiz shopにアップしました。
なにとぞ、なにとぞ。




Feb 7, 2016

Eyes > Mouth

近ごろ動物が急増している。
特に目ヂカラの有るものが集まってきている。

「目は口ほどに物を言う」と言うが、鋭い目に出会うと
ついつい手が伸びてしまう傾向にある。
そのうちの幾つかをここに。


新入りのイースター飾りのニワトリはまさにそんな感じである。
全てを悟っているかのような、そんな表情。
復活祭の装飾品でイースターエッグやイースターラビットは
よく耳にするが、実はイースターチキンなるものもあるそうで、
妙にどっしりとしているところが気に入っている。



もう一つはオアハカの木彫りの青カバ。
これは挑戦的と言うより、なんとも憎めないタレ目具合である。
とても強い彩色なのにこの目が全てのバランスを丸く収めている。
我が家の癒し系といったところか。

同じ木彫りの動物でも作られた目的も容姿も全く異なる。
それがおもしろくて、結果いろんな国の木彫りの動物が日々増加中。

最後に日本の木彫りをひとつ。

東北で作られたとても小さな木彫りの達磨。
身の丈5cmながら鋭い目つきであり、真一文字の口元も凛々しい。

が、そもそも達磨は動物カテゴリーなのか?
それについては現在審議中ということで。