Oct 14, 2013

104

1972年に発行された「世界の民芸」は
浜田庄司、芹沢銈介、外村吉之介の3氏が
週刊朝日誌上において、手持ちの海外民芸品
(時には感心した柳宗理など友人の収集品も)を
それぞれが選び、解説した104点を一冊に
まとめたものである。




選ばれた民芸品の素晴らしさは勿論、その解説文から
3氏それぞれの価値観や物に対する愛情、 
人柄も感じ取れる気がして、ページをめくっては
感嘆したり、共感したりと毎回見る度いそがしい。
たとえば芹沢銈介が選んだイランのソックス


この解説の一文には
「試しにはいてみると足先がすっぽり模様に
つつまれるたのしさ、
その感触と暖かさは、ただ材質からだけでの
ものでない格別なものがある。」
というあたたかい言葉が添えられている。
104点の様々な国の様々なもの、
迫力ある写真を見ながらそれぞれの国に
思いを馳せるだけでもとても楽しい。
また芹沢銈介の装幀も素晴らしく、
表紙を外した姿も美しいのが
ものに対する著者たちの
姿勢のようにも思える。

繰り返し読んでいるあとがき
 「物を見ること持つこと」
には大切な言葉や考えが沢山詰まっていて、
自分にとっては地図のような存在。
なので、この「世界の民芸」は
いつでも手に取れる場所にある
無くてはならない本なのです。