May 30, 2013

ninjin kinatetsu

明治時代のワインボトル。





どっしりとした胴回りに比べて、最後の最後で
チカラが抜けてしまたような、そんな首元の
よろけ具合がなんとも愛らしい。


首元は少々くだけているが、ラベルは西洋風の
モダンなデザイン。 
葡萄房のイラストと共に中央に配された商品名と
おぼしき横文字を眺めるとそこには
  NINJIN KINATETSU 』 という文字が。





ニンジン、キナテツ。



このニンジンキナテツの謎を解明すべく、 
よろけた瓶を上下左右から近づいたり
離したりしつつじっくり取り調べたところ、
色の抜けたラベルに薄っすらと残った朱色で
『鐡那規参人』の文字を発見

右横書を左横書きに並べ替えると
『人参規那鐡』(ニンジンキナテツ)と読める。

嬉々としてこれをネットで調べたところ、明治時代に
人参規那鐡葡萄酒なるものがあった事が判明
以下MIHOミュージアムのページより。

『明治四十年代には、「人参規那葡萄酒」ないし
「規那鉄葡萄酒」と呼ばれる薬用酒が流行した。
これは滋養強壮の目的のものであり、この「人参」とは
朝鮮人参、「規那」とはアカネ科の常緑高木キナの樹皮
から採れる「キニーネ」、そして「鉄」とは貧血に効くという
鉄分を指している。』

は思いの外あっさりと解けた。


ニンジンキナテツ騒動も無事解決したところで、
出自の判明したご本人に目をやると、
何をそんなに騒いでいるのかと小首を傾げて
こちらを見ていらっしゃいました。


May 6, 2013

SAMIRO YUNOKI


新しい場所に見慣れたものがあると安心する。
それはハンバーガーやコーヒーショップチェーンの
看板を異国の地で見かけるとほんの少し落ち着くのと
なんとなく似ている。



柚木沙弥郎さんの型染めを部屋に掛けた。
するとたちまちそこがいつもの空間となり、
なんだかとてもほっとする。






手に馴染んだブレスレットや
身体に馴染んだ服、
好きな香りがあると落ち着くように、
この型染めは自分の居場所を
教えてくれる地図のようなもの。


あまり多くを語らない彼らですが、
その飄々とした表情が
時にはとても頼りになるのです。